日本でShopifyショップを運営するなら、一般的な「Basic・Shopify・Advanced・Plusの比較」では肝心の判断材料が抜け落ちています。それは決済方法の比率です。コンビニ・銀行振込・代引きを多く扱うショップは、同じ売上のカード中心ショップとはShopifyへの支払いが大きく変わります。なぜなら、これらの非カード決済は外部決済サービスを経由する必要があり、外部決済を使うとShopifyの追加手数料が発生するからです。
この事実が一般的なアドバイスを覆します。多くの記事は「売上だけ」でアップグレードを判断しますが、日本では、月商300万円・コンビニ40%のショップは、同じ月商でカードのみのショップより早くAdvancedに上げたほうが得になることがよくあります。外部決済の上乗せ手数料の差(Basic 2.0%→Advanced 0.6%)が、プラン料金差を上回るからです。
この記事は、まず日本特有の判断軸(決済方法の比率+円ベースの実コスト)を提示し、その後に4プランの詳細を載せて、ご自身で数字を検証できる構成にしています。
まず確認:決済方法の比率がプランを決める(日本)
機能の比較表を見る前に、ひとつだけ答えてください。注文のうち、非カード決済(コンビニ・銀行振込・代引き)の割合はどれくらいですか?
日本のEC決済の約20〜30%は今もコンビニ・銀行振込で、特定カテゴリでは代引きも根強く残っています。これらはShopify Paymentsでは直接対応できないため、外部決済サービス(KOMOJU、SBペイメント、GMOイプシロン)を経由します。その瞬間、Shopifyは決済代行手数料の上に、プラン別の追加手数料を上乗せします。
| プラン | Shopify外部決済の追加手数料 | 非カードで月100万円を流した場合 |
|---|---|---|
| Basic | 2.0% | 月20,000円 |
| Shopify | 1.0% | 月10,000円 |
| Advanced | 0.6% | 月6,000円 |
| Plus | 個別(要交渉) | 変動 |
これが一般的な記事が見落とす判断軸です。目安は次のとおりです。
- 非カード15%未満 → 売上・機能だけで判断(下記のGMV基準に従う)。
- 非カード15〜35% → 手数料を試算。Advancedの損益分岐が売上だけで考えるより早く来ます。
- 非カード35%超 → Basicの2.0%が成長への実質的な課税になります。早めにAdvanced(0.6%)到達を計画し、Plus規模では個別料率を交渉してください。
円ベースの実コスト(日本の3つのショップ例)
USDのプラン料金は日本のショップにとって半分の情報でしかありません。為替150円/$、一般的な4アプリ構成を前提に、3つのよくあるショップの円ベース実コストを示します。これはShopifyの公表数値ではなく、当社が運用するShopifyショップで見られるパターンです。
例A:新規D2Cブランド、月商150万円、カード中心(90%カード)
| 項目 | 月額(円) |
|---|---|
| プラン:Basic($39、年払い) | 約4,350円 |
| アプリ(必須4本) | 約15,000円 |
| 外部決済の上乗せ(Basicで非カード10%) | 約3,000円 |
| 合計(カード決済手数料を除く) | 約22,350円 |
判断:Basicが正解。非カード比率が低く、2.0%の上乗せはほとんど影響しません。今Advancedにする必要はありません。
例B:成長期、月商400万円、コンビニ+銀行振込35%
| 項目 | Basic(円) | Advanced(円) |
|---|---|---|
| プラン料金(年払い) | 約4,350円 | 約44,850円 |
| 非カード140万円への上乗せ | 約28,000円 | 約8,400円 |
| アプリ(4〜5本) | 約25,000円 | 約25,000円 |
| 合計(カード決済手数料を除く) | 約57,350円 | 約78,250円 |
判断:ここが分岐ゾーン。Advancedは月約21,000円高くなりますが、非カードが200万円に近づくと上乗せ差(約19,000円)でほぼ相殺されます。この決済構成で月商500〜600万円なら、Advancedが明確に有利です。
例C:確立期、月商1,200万円、越境+非カード25%
| 項目 | Advanced(円) |
|---|---|
| プラン料金(年払い) | 約44,850円 |
| 非カード300万円への上乗せ | 約18,000円 |
| アプリ(5〜6本、越境含む) | 約40,000円 |
| 合計(カード決済手数料を除く) | 約102,850円 |
判断:Advancedがスイートスポット。Plus($2,300/月 ≈ 345,000円)が妥当になるのは、チェックアウトのカスタマイズ、B2B卸売、またはAdvancedの0.6%を下回る個別料率が必要な場合のみ。月商1,200万円ではまだ不要です。
Shopifyの料金体系の基本
Shopifyの費用構造は、大きく3つの層に分かれています。
第1層:月額プラン料金
Shopifyのコア機能を利用するための基本料金です。プランによって利用できる機能の範囲が異なります。
第2層:決済手数料
商品が売れるたびに発生する手数料です。Shopify Paymentsを利用するか外部決済を利用するかで料率が変わります。月商が大きくなるほど、この手数料の差がコストに大きく影響します。
第3層:アプリ・テーマなどの追加費用
Shopifyの標準機能だけでは対応しきれない要件がある場合、有料アプリやテーマを導入します。この費用はショップによって大きく異なりますが、運用を始めると避けて通れないコストです。
この3層を理解したうえで、各プランの詳細を見ていきましょう。
4つのプランを徹底比較
Shopifyには4つのプランがあり、それぞれ対象となる事業規模やニーズが異なります。
月額料金と主要機能の比較表
| 項目 | Basic | Shopify | Advanced | Plus |
|---|---|---|---|---|
| 月額料金 | $39/月 | $105/月 | $399/月 | $2,300/月〜 |
| 年払い(月あたり) | $29/月 | $79/月 | $299/月 | 要相談 |
| スタッフアカウント数 | 2 | 5 | 15 | 無制限 |
| 在庫ロケーション | 10 | 10 | 10 | 200 |
| レポート機能 | 基本 | 標準 | カスタム | カスタム+高度分析 |
| 外部送料計算 | × | × | ○ | ○ |
| チェックアウトのカスタマイズ | × | × | × | ○ |
| B2B機能 | × | × | × | ○ |
| Shopify Flow(自動化) | × | ○ | ○ | ○ |
| 国際価格設定 | × | ○ | ○ | ○ |
各プランのポイント
Basic($39/月)
Shopifyを始めるためのエントリープランです。商品登録数に制限はなく、基本的なEC機能は一通り揃っています。スタッフアカウントが2つまでなので、1〜2名で運営する小規模なショップに向いています。レポートは売上やトラフィックの基本データのみです。
Shopify($105/月)
中間プランで、Basicに加えてShopify Flow(自動化ツール)と国際価格設定が利用可能になります。スタッフアカウントが5つに増えるため、チームでの運営に対応できます。標準レポートが使えるようになり、売上分析の幅が広がります。
Advanced($399/月)
大規模ストアや越境ECを行う事業者向けのプランです。外部配送業者によるリアルタイム送料計算に対応し、カスタムレポートで詳細な分析が可能です。スタッフアカウントは15まで、決済手数料もBasicやShopifyプランより低く設定されています。
Plus($2,300/月〜)
エンタープライズ向けの最上位プランです。チェックアウト画面のフルカスタマイズ、B2B専用機能、最大200の在庫ロケーション、Shopify Audiences(広告ターゲティング)など、大規模事業者向けの機能がすべて解放されます。専任のサポート担当がつく点も大きな違いです。
日本での決済手数料の注意点
Shopifyの決済手数料は、日本で運用する場合にいくつか押さえておくべきポイントがあります。
Shopify Payments利用時の手数料
Shopify Paymentsは、Shopifyが提供する標準の決済サービスです。日本での手数料率は以下のとおりです。
| プラン | クレジットカード(国内) | クレジットカード(海外/AMEX) |
|---|---|---|
| Basic | 3.55% | 3.9% |
| Shopify | 3.4% | 3.85% |
| Advanced | 3.25% | 3.8% |
| Plus | 要相談 | 要相談 |
Shopify Paymentsを利用する場合、追加の取引手数料はかかりません。一方、外部決済サービスを利用すると、決済サービス側の手数料に加えてShopifyからも取引手数料(Basic: 2.0%、Shopify: 1.0%、Advanced: 0.6%)が発生します。
JCBカードへの対応
日本ではJCBカードの利用率が高いですが、Shopify PaymentsでJCBに対応しています。手数料率はVisa/Mastercardと同じです。JCBに対応していないと、日本市場で一定の注文を取りこぼすことになるため、これは重要なポイントです。
コンビニ決済・銀行振込
日本のEC市場ではコンビニ決済や銀行振込の需要が根強く残っています。Shopifyでは、KOMOJU、SBペイメントサービス、GMOイプシロンなどの外部決済サービスを通じてこれらの決済手段を導入できます。
ただし、外部決済を利用する場合はShopifyの追加取引手数料が発生する点に注意が必要です。月商が大きいショップでは、この手数料差が年間で数十万円の差になることもあります。
代引きの取り扱い
代引き(代金引換)は日本特有の決済手段です。Shopifyでは「手動の決済方法」として設定可能ですが、実際の代引き手数料の管理は配送業者(ヤマト運輸、佐川急便など)との契約で決まります。プラン間での違いはありませんが、代引きを導入する場合は配送業者側のコストも含めて試算する必要があります。
見落としがちな追加コスト
月額プランと決済手数料だけでなく、実際の運用では以下のような追加コストが発生します。
有料テーマ
Shopifyのテーマストアには無料テーマも用意されていますが、デザイン性や機能性にこだわる場合は有料テーマを選ぶケースが多くなります。有料テーマの価格帯は$180〜$350程度で、一度購入すれば継続費用はかかりません。
ただし、テーマのメジャーアップデート時に再購入が必要になるケースもあるため、購入前にアップデートポリシーを確認しておくことをおすすめします。
有料アプリ
Shopifyの強みはアプリによる機能拡張ですが、主要なアプリの多くは月額課金モデルです。一般的なショップで利用される主なアプリカテゴリと費用感は以下のとおりです。
| アプリカテゴリ | 月額費用の目安 |
|---|---|
| メール配信(Klaviyo等) | $20〜$100/月 |
| レビュー収集 | $15〜$50/月 |
| SEO対策 | $20〜$80/月 |
| 在庫管理・同期 | $30〜$100/月 |
| サブスク・定期購入 | $50〜$100/月 |
小規模ストアでも3〜5個のアプリを導入するケースが多く、アプリだけで月$50〜$300の追加コストになることは珍しくありません。
ドメインとメール
独自ドメインの年間費用は$14〜$40程度です。Shopify経由で購入することもできますし、外部のドメインレジストラで取得してShopifyに接続することも可能です。
メールについては、Shopify Emailで月10,000通まで無料で送信できますが、それ以上は従量課金(1,000通あたり$1)となります。本格的なメールマーケティングを行う場合は、Klaviyoなどの専用アプリの導入を検討することになります。
事業規模別・おすすめプラン
立ち上げ期 → Basic($39/月)
ECビジネスを始めたばかり、または月商がまだ100万円以下の段階ではBasicプランで十分です。商品登録数に制限はなく、基本的な販売機能はすべて揃っています。
まずはBasicで始めて、ビジネスの方向性が固まり売上が伸びてきた段階でプランをアップグレードする。これが最もコスト最適化された進め方です。
成長期 → Shopify($105/月)
月商が100万〜500万円規模になり、スタッフが増えてチームでの運営が必要になったら、Shopifyプランへの移行を検討しましょう。
Shopify Flowによる業務自動化は、注文処理やタグ付け、在庫アラートなどの定型業務を効率化し、運用コストの削減に直結します。国際販売を始める場合も、このプランから対応可能です。
拡大期 → Advanced($399/月)
月商が500万円を超え、複数の販売チャネルや海外市場への展開を進めている段階ではAdvancedプランが適しています。
特に、決済手数料の差が効いてきます。月商1,000万円の場合、BasicとAdvancedの手数料率の差(0.3%)だけで年間36万円の差が生まれます。カスタムレポートによる詳細な分析も、データドリブンな意思決定を支えます。
エンタープライズ → Plus($2,300/月〜)
年商数億円規模、または以下のような要件がある場合はPlusを検討してください。
- チェックアウト画面のブランドカスタマイズが必要
- B2Bの卸売機能が必要
- 大量トラフィック(セール時のスパイク対応など)への耐性が必要
- 複数ストアの一元管理が必要
- 専任サポートが必要
Plusは月額コストが大きく上がりますが、それに見合う機能と安定性が提供されます。
よくある質問
Shopifyは無料で使えますか?
Shopifyには3日間の無料トライアルがあり、その後は月額$1で最初の3ヶ月間利用できるキャンペーンを実施していることがあります(時期により異なります)。完全無料のプランはありませんが、低コストで試せる仕組みは整っています。
プランの変更はいつでもできますか?
はい、プランのアップグレード・ダウングレードはいつでも可能です。アップグレードの場合は即時反映され、残りの期間は日割り計算で差額が調整されます。ダウングレードの場合は次の請求サイクルから適用されます。
上位プラン限定の機能を利用している場合、ダウングレード時にその機能が使えなくなる点には注意が必要です。
Shopify Plusはどんな企業向けですか?
年商が数億円規模を超える企業、B2B取引が必要な企業、チェックアウトのフルカスタマイズが必要な企業が主な対象です。また、複数のブランドやストアを運営している企業にとっても、Plusの一元管理機能は大きなメリットになります。
日本では、大手D2Cブランドやアパレル企業での採用が増えています。
結局、総額でいくらかかるのか?
一般的な目安として、各プランの月額総コスト(プラン料金+アプリ5個想定)は以下のようになります。
| プラン | 月額プラン | アプリ想定 | 月額合計目安 |
|---|---|---|---|
| Basic | $39 | $50〜$150 | $89〜$189 |
| Shopify | $105 | $50〜$200 | $155〜$305 |
| Advanced | $399 | $100〜$300 | $499〜$699 |
| Plus | $2,300〜 | $200〜$500 | $2,500〜$2,800 |
これに決済手数料が加わるため、月商から逆算してトータルコストを試算することが重要です。
Shopifyのプラン選びは「今の規模に合ったプランから始めて、成長に合わせてアップグレードする」が基本的な考え方です。最初から上位プランにする必要はなく、ビジネスの成長ステージに合わせて柔軟に変更できるのがShopifyの大きな利点です。
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